皆さん、こんにちは、mqmの王です。
EC業界の3巨人の行方についてのテーマですが、三社とも巨大すぎて、他に事業を省いて分析してみたいと思います。まず、ビジネスモデルを確認することが必要です。
ビジネスモデル
楽天市場:B2B2C
ヤフーショッピング:B2B2C
アマゾン:B2C(本体)+B2B2C(出品サービス)
ご覧の通り、楽天市場とヤフーショッピングは同じプラットフォーム型で、アマゾンは通販型+プラットフォーム型ですね。ここは一番大事なところで、各社の運営の方針が決まります!
収益構造
ざっくりで分けると
楽天市場:月額出店料+手数料+広告費
ヤフーショッピング:広告費
アマゾン:販売の利益(本体)+月額出店料(大口出品)+手数料+広告費+倉庫・物流費用(FBA利用の場合)
この通り、ヤフーショッピングだけは削れるところを全部削ったことになりましたね。単純明快!
競合関係
流通で考えると、三社ともライバル関係です。しかし、ビジネスモデル的には、楽天市場とヤフーショッピングはお互いに競合性が高いです。上記のビジネスモデルでまとめたように、アマゾンはどっちかって言うと、B2Cの方に最優先に回す体質ですので、B2B2Cの方は出品者のブランド力を最小限に抑えた形で、商品のみをアピールし、アマゾンブランド力を最大化しているわけです。出品者との関係は、あくまでも自社で揃えない商材を提供してもらうイメージで、アマゾンブランドで出来た集客を最大限にするためであります。さらに、倉庫・物流のインフラを最大限に利用するためにFBAサービスが存在しています。そのため、厳密的に、楽天市場とヤフーショッピングとは違うビジネスを運営しています。楽天市場とヤフーショッピングの場合は流通額を増やして、自社の売上を上げる構造であります。
B2C vs B2B2Cモデル
上記で述べたように、ビジネスモデルの根本的な違いで、やり方が違うわけです。この二つのモデルでそれぞれのメリットとデメリットがあります。
■B2C(アマゾンモデル)のメリット:
商品が自社でコントロールしているため、相対的にユーザーのエクスペリエンスの質を保ちやすいです。これはアマゾンが愛されるところです。しかも、アマゾンには根強いファンがたくさんいらっしゃいます。これのモデルはわかりやすいです。そして、モールブランド力を築きやすく、宣伝の効率がすごくいいです。ユーザーは購入時に、「どこのショップが販売しているか」などの不安要素がありません。安心して購入することができます。
■B2C(アマゾンモデル)のデメリット:
商品をカバーできる範囲は限られています。在庫が増えれば増えるほど、回収効率が悪くなり、より大きな資金が要り、それに伴って、在庫リスクも増えてしまいます。アマゾンレベルになると、インフラの装備も莫大な資金が必要となります。もし、中国のように、まだインフラ整備がされてないところが多いと、物流までカバーする必要もなってきます。これは、中国の京東商城がここ2年だけで150億元の赤字形成の要因の一つです。
商品のカバー力を改善するために、プラットフォームの形で、第三者による出品が解決の手段です。しかし、完璧ではありません。まず、自社も販売するため、出品者との競合関係を避けられません。次に、第三者の運営で、メリットである「ユーザーのエクスペリエンスの質」をコントロールが難しいです。この原因で、アマゾンは出品者に対しても、アマゾンのクオリティを求めています。しかし、出品者の立場の話すると、出品者側に運営の負担がかかると出品のみですので、出品者自身(ショップ)のブランド力を高めることができません。
■B2B2C(楽天市場・Yahoo!ショッピングモデル)のメリット:
アマゾンモデルと対象的に商品を直接に販売しないため、出店数(商品数)を増やして、それをユーザーに販売するモデルです。もっとシンプルに言うと、流通額の増加のみに力を入れればいいです。そのため、ショップが増えるとカバーするジャンルも増え、商品数がほぼ無限に増やすことができます。そして、ユーザーに対して、商品揃いが一番の売りとなります。要は「ここなら何でも揃えているよ」を宣伝したらいいです。
■B2B2C(楽天市場・Yahoo!ショッピングモデル)のデメリット:
まず、ショップ側とユーザー側両サイドの供給バランスを取らないといけません。ショップが増えれば、商品も増えるが、ユーザーがいないと、売上が立たないので、ショップ側のモチベーションが低下します。また、商品が揃えないのに、集客しても、ユーザーに魅力を感じることができず、プロモーションの効率が悪いです。でも、今は楽天市場とヤフーショッピングはこの段階の問題でなくなりますが、問題は後述します。次は、アマゾンのように自社で商品のコントロールできないので、ユーザーのエクスペリエンスの質を保障することが難しいです。もちろん、両社とも、継続的に改善していますが、根本的に変えるのは難しいです。ショップのレベルはバラバラのためです。十分大きなマーケットと形成しているので、モール内の競争で、改善して行くことになります。
楽天市場 vs ヤフーショッピング
では、B2B2C型の2強はどっちの方が有利できしょうか?
楽天市場:月額出店料+手数料+広告費
ヤフーショッピング:広告費
収益モデルから見ると、ヤフーショッピングの無料化から、もう削れるところ全部削ったこととなります。分かりやすい構造となります。現状ですと、流通額ベースで考えると、まだ楽天市場がはるかに大きいです。日本全体のEC業界の流通額の成長率がやや抑え気味となりました。将来的には、ヤフーショッピングのやり方の方が、間違いなく流通額を伸ばせます。現在出店数・商品数が多くなって、ユーザーの集客だけを専念したらいいだけの話です。そのために、ポイントなどの作戦順調に流通額を伸ばしています。アマゾンはそういう作戦は全く付き合わないのですが、楽天市場は付き合っているようです。しかし、本当は楽天市場は付き合わない方がいいと思っています。これはヤフーの賢いところです。
より詳しく考えると、ヤフーの場合は、会社全体の事業の中で、ショッピング事業はメインではありません。楽天の場合は、市場事業がメインです。これは大前提です。もう一つの前提として、当初の流通額が楽天より全然少なかったのです。そして、出店数・商品数も楽天より全然少なかったのです。だから、作戦として、無料化し、とにかくショップ数を増やすと自然に商品数も増えます。で、全力プロモーションし、ユーザーを集まる作戦ですね。その結果、流通額がすさまじいスピードで拡大しています。前述のような前提で、万一失敗する場合でも、ヤフー全体の事業に対するダメージはありますが、楽天に対するダメージの方がはるかに大きいです。自分の弱いところを使って、相手の最も肝心なところと勝負するにはすごく有効な方法です。そして、ヤフーがポイントをばら撒いて、楽天に残る選択肢が付き合うかしないかに残ります。付き合うとダメージが大きいし、付き合わないと相手にやりたい放題になってしまいます。結果的にとことんに対戦することになっています。ダメージとしては、単純計算だけでは、ヤフーショッピングの流通額が楽天市場の三分の一だとすると、同じ倍率のポイントを配ると、楽天市場側が三倍の支出となります。これはかなり大きいです。こういう状況は誰にしても悩みますね。マーケットの背景で見ると、成長が鈍化し、それを阻害しているのは、マネタイゼーション率です。流通額に対してどれぐらいで持っていかれているかがカギですね。だから、長期的にヤフーのやり方が凄く正しいと思ってます。しかし、まだまだやれることが多いはずです。一方、楽天市場も今は不利な状況に見えますが、やり方次第、十分勝算があります。
まとめ
アマゾンモデルはユーザー(消費者)に専念すればいいので、分かりやすいですが、流通の限界があることは一つ、と、プラットフォーム(出品サービス)もありますが、モール型より出品者に対する不安・不利な条件があります。それをはるかに大きいモデルは楽天市場・ヤフーショッピングのモデルのはずです。しかし、今は楽天がリードしている中、アマゾンと差をつけれてないことは収益構造にあります。マネタイゼーション率を下げることによって、ヤフーショッピングのように流通額にプラス効果がありますが、楽天市場はヤフーのように、いきなり無料化をする現実味がまったくありません。さらに、ユーザーに対するプロモーションがやりすぎると逆効果もありますので、由一向上できるそうなところはショップ側に対するサービス・サポートを向上するしかありません。今でも、私知っている限り、ショップ側にとって、楽天市場は最初の選択肢で、売上の見込みも最も有望なモールですが、ヤフーの台頭による、逆転されたら、本当の意味でやばいかもしれません。ヤフーショッピングも流通額が増えてますが、まだショップ側に実感できてないところが多いです。もっとショップ側に売上が増えることを実感させれば、気持ちもかわるはずです。